1 | 2 | 3 | 4 | 5 | TOTAL | |
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保土ヶ谷メッツ今井 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | 0 |
鎌谷クラブ | 0 | 4 | 5 | 1X | - | 10 |
バッテリー ゆうのすけーひろき
一)なおき
右)けいた
遊)ゆうのすけ
捕)ひろき
三)かえで
左)りょうた
二)アレックス
遊)かずき
中)しょうじ
(途中出場 けいた→きんのすけ)
「お前らが点をたくさん取ってきんちゃんに場面を作れ!6年全員で勝つぞ」
6年生は全員で10名、5年生から入部した外野手きんのすけは途中出場となる
試合開始前の円陣、キャプテンかえでが叫ぶ
「きんちゃんのためにがんばるぞ!」
5年生も6年生も「オー!」と雄叫びを上げた!
5年生途中から入部したきんのすけ
最初はボール回しもノックも「ケガをするんじゃないか、、」と心配したものだ。
スライディングも危なっかしい、サインプレーも難しい
キャッチボールも隣の列でやるのが怖かった
預かる身としては「ケガだけはさせてはいけない」と思うしかなかった。
けれど彼はチームに欠かせないムードメーカーだ。
シートノックやバッティング練習ではすすんで捕手をやってくれた
試合はあまり出られなかった
午前のフレッシュ準決勝は5-2の接戦、きんのすけの出番はなかった。
この試合、2回裏に動いた。
4番ひろきのセンター前のあと、打点お化けかえでがセンターオーバースリーベースでまず先制
5番りょうたもレフト前で続き、かえで生還
6番アレックス、2球目、星川グラウンドのレフトフェンス直撃の大ファールのあとに渋くセンター前にはじき返してチャンス拡大、そして勿論、塁上で
ア レ ク ダ ン ス !
4連打の後は8番かずきが初球スクイズで加点、なおもワンアウト3塁
「しょうじ、どうやったら点を取れるか考えて打席に立て」ベンチで代表がしょうじにささやく。
6年間野球を教えてくれた代表からしょうじへの卒業試験だ。
初球、「右打者がライトに引っ張る」という阪神の岡田ばりの右打ちがライトオーバーのツーベースとなった!
「初球を右、三塁ランナーを楽々帰す。しょうじ、それが正解や。合格や!」
鎌谷、4点先制
続く3回
ゆうのすけセンター前、ひろき遊失でチャンスメイクすると、控えるは打点お化けかえで
「俺の花道は打点で飾る!」またもやセンターへタイムリーヒット!
りょうた凡退も続くアレク
「レフト線がファールになるなら左中間にぶっとばせばいいじゃない」
と左中間を深々と破るタイムリースリーベース!
三塁塁上でも
ア レ ク ダ ン ス !
上手のお客さんにも下手のお客さんにも楽しんでいただく。
おまえエンターテイナーやな。
保土ヶ谷の藤山寛美や!
さらにかずき、お前はこれしかない!という前進守備を欺く強烈なセンタへのタイムリー!これで5点追加!
投げてはゆうのすけが3回までノーヒット無得点で相手をきりきり舞いに。4回に初安打を浴びるも堂々の無失点。
これで4回表終わって9-0。あと1点取ればコールド勝ちだ
4回裏
「きんちゃん、いくぞ」とF監督代行
先頭バッターできんのすけに出番が回ってきた
久しぶりの出番
「気持ちよく3球振って帰ってこい」
そうはおもわなかった
「やれ!きんのすけ」
そうおもった。そう思えた。
ここ最近は練習で浅小のライト方向に良い打球は飛びつつあった。
ライトゴロだけはさけて欲しいと思った。
初球!1,2塁間に鋭い当たり
相手セカンドは回り込んで正面から獲れる打球ではなかった
なんとかグラブに入ったと思った打球がこぼれる
きんのすけとベンチの仲間の執念
一塁転送もセーフ!送球がそれる間に二進!
ノーアウト2塁をきんのすけが1球で1人で作った!
「思いのこもった打球」とはこういうものだ。これも野球。
打席は1番に戻ってゆうのすけ
「きんちゃんを返せ~」
ベンチから5年生も6年生も大声援
ゆうのすけが振り抜いた打球はセンターを襲う!
広い星川グラウンドを打球が転々とする
相手の中継も乱れた
きんのすけが駆ける
三塁を回る
タイミングはクロスプレー
きんのすけ、執念のスライディング
10-0
決勝戦、コールド勝ちの得点がきんのすけについた。鎌谷軍、親善トーナメント優勝
最後の最後「忘れられない試合をして欲しい」「仲間のためにつないで、仲間のために打って、仲間のために走って欲しい」スタッフはそう願っていた。
おまえらこんなマンガみたいな野球を見せやがって
最後はみんなできんちゃんに場面を作りやがって
最後はきんちゃんが自分のバットと足でヒーローになりやがって
ばかやろう、、
大人をバカにするんじゃねぇわ
泣けてくるだろう
6年生10人、お前ら最高や
5年生9人、お前らも最高や
「便所には~神様が~おるんやで~」的な歌があったがやかましいわ!
どっかに行ってろっていうんですよ!おってもおらんでも知らんがな
便所の神さんは知ったこっちゃないが、野球の神様は、いる。
日本全国であの日あの時少年達は野球をやっていただろうが
あの瞬間はまちがいなく、保土ヶ谷の星川グラウンドに居た!
親善トーナメントにしか出られなくってくやしかった?
本当は決勝トーナメントに出たかった
そう思うことも悪くない。
けれど、そうだったらこの瞬間は、ドラマは無かった。
いつもニコニコ挨拶をする「礼儀正しい」きんのすけ
親友しょうじとのコンビをはじめ「仲間と仲良く」のきんのすけ
試合に出れなくてもこつこつ練習して出番を待った「我慢強い」きんのすけ
さすが鎌谷の選手だ。
さぁ、残すは6年生のフレッシュカップ決勝
これ以上の感動を、これ以上の出来の良すぎるマンガみたいな野球をもう一度見せてくれるのか
俺は震えて待つよ