1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | TOTAL | |
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鎌谷クラブ | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | - | 2 |
明神台リトルグランパース | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | - | 1 |
バッテリー ゆうのすけーひろき
先発 投)ゆうのすけ 三)たかよし 左)りょうた 一)かえで 捕)ひろき 中)なおき 二)アレックス 遊)かずき 右)けいた
「大逆転もいいけどよ、明日は先制、中押し、ダメ押しで行きてぇよな」
とは先日リトルジャイアンツ戦後のミーティング後の監督。胃の痛い大逆転劇も楽しくていいぞ。だけどタクトを振る監督をな、少しは楽にな。
1回表
1番バッター、「初球打ち大好き」のエースゆうのすけはカウント3-0もバットを振らず3-2まで粘る。惜しくもサードゴロ。
2番たかよし 「1番が倒れても1人でワンアウト2塁を作る、それが俺の使命。チームにいる理由」お経のようにつぶやき続けた数週間。
たかよしの執念の打球が一塁手の頭を超える。
右安
そしてリードを取りづらい左投手から盗塁を決める
さぁたかよしが「1人でワンアウト二塁」を作った!
ちびっ子首位打者はフツーに言う。「俺が出たらみんなが返してくれるから」これがチームの信頼関係だ。
たかよしに答えたのはりょうた。
「ギリギリまで3番打者は悩んだ。だけどこの大会はりょうたに賭けた」監督の大仕事の半分は試合前に終わるという。つまりスタメンだ。いままでの取り組み、直前練習の様子、子供の個性、体調、顔つき、前試合の打席結果、チームの流れ、すべてを勘案してメンバー表に名前を連ねる。
新チーム発足時はベンチにいたりょうたが、ホームランを打ち、四球を拾い、守備で魅せ、タイムリーを放ち、スコアラーを唸らせ、監督コーチの指導に答え、次第にレギュラーをつかみ、最後はクリンナップを託されるようになった。かえでとゆうのすけ以外は横一線でスタートしたチーム。りょうたは快進撃を、成長を続けるチームの象徴ともいえる選手になった。打撃は荒い。主張もあまりしない。けれどなぜか使いたくなる、託したくなるそんな選手だ。
でも「だれもが認める3番」になるまでには、りょうたにはあと1つ、欲しい。監督もコーチもそう思っていた。
カウント2-1、一球見送れば2-2か3-1。後ろには打点おばけ、かえでが控えている。
四球を狙うか、まずは1球は見るか、、、
りょうたは振りぬいた。「りょうたくんが行くと思った」という2塁走者たかよしは大きめに第2リードを獲っていた。その足元を強烈な打球がレフトへ抜けていく。
先制タイムリー、3番の仕事。
鎌谷クラブ実に6試合ぶりの「先制」
おまえら、大逆転もええけど先制点はもっといいぞ。
その後は緊迫の投手戦。2回には守備の乱れから2,3塁間でのランダウンプレー、ここでもレフトりょうたのナイスカバーがゆうのすけを、チームを救った。
1対0 「リードしている野球」を良くも悪くもあまり経験していない鎌谷は4回裏、追いつかれる。ワンアウトから中安、エラーで2進を許し、5番打者二ゴロの間に三進でツーアウト3塁。6番打者のレフト前で同点に。しかしその後のピンチをゆうのすけは三振で切り抜ける。ゆうのすけは5回まで毎回奪三振、リードは奪わせない。
緊迫の投手戦、鎌谷最終7回の攻撃
先頭かずきはフルカウントまで一度もバットを振らず四球をもぎ取る。打撃ではいまいち貢献できていないが、声で、気合で四球を奪う。これもチーム野球だ。けいたの送りバントを
相手三塁手がエラー、ノーアウト1,2塁。
ここでチームを攻守で引っ張ってきたゆうのすけ、首位打者たかよしに打順がめぐる。
連続三振
3番りょうたが決めなければ打点お化けかえでには回らない。
最終回ノーアウト12塁のチャンスを逃せば、完全に相手に流れは行く。サヨナラ負けの公算がぐっと高まる。
四球を拾いにいくのか!自分で決めるのか!初球はストライク。
負ければ終了のトーナメント戦、監督が最後まで迷った3番
快進撃のチームの象徴りょうた
右中間!、逆らわないバッティング、ベンチ総立ちで二塁走者かずきにホーム突進を指示!
決勝タイムリー!
こうなれば、あんなに言ってるのに2打席目と3打席目に初球を打って凡退したゆうのすけもご愛嬌。しっかり締めて見事にブロック決勝進出!
接戦をもモノにした鎌谷。
もうブロック優勝しか見えない!
じつはこんな文章を書いてますが、私は現場にはいませんでした。
スコアと選手からの感想で綴っています。けれど、熱気は、想いはスコアから伝わるのです。ちなみにヒーローのりょうたは帰りの車では爆睡していたそうだ。
でかい仕事をしたあとは寝る!
りょうた、正しいで。男として。
監督は「勝ち進むチームには日替わりヒーローが出るものだ。誰だってヒーローになれる。行ける所までいこうぜ!」と怪気炎。
そう、ハンバーグエビフライ打線でビッグイニング爆勝もいいもんだが、日替わりヒーローもいいものだぞ!
少年たちよ。コーチは確か「ハンバーグエビフライセット」とか「よくばりミックスカツ定食」ばかりを淀みなく選択していく、男として重要なことだと前回言ったよな。だが、実はそういうことばかりでは男とはいえないのだ。
「日替わり定食」を静かに頼んでいく
そういうことで視界が広がることだってあるんだ。
初めて行った町で、あまり時間もない状況で「そこらの定食屋」に飛び込むように入っていく。そういうことも将来お前らにはきっとあるだろう。常連の客が2,3人居て、入ってきたお前を一瞥。そんな時のアウェー感などたまらないものがあるぞ。
そこで「ハンバーグエビフライもいいなぁ、あっ、このビックリチキンカツってのは何を持ってビックリなんだろうか、ビックリするほど小さいなんてことはないよな、さすがにないよな、、」なんてつぶやいて迷っていては男ではないのはもう解るだろう。
だからといって、見ず知らずの街で、見ず知らずの定食屋のばばぁに
「ハンバーグエビフライセット、なければ単品追加で!」と野太い大きな声で挙手までしてハキハキと伝えるなんてことでは、男としてと言うよりそもそも人生としてなにかを見つめ直さなければならないという状況に陥っていくこともあるのだ。
そういうおっさん、ちょいちょいおるんや、、
鎌谷の子はそういう事ではいかん。そういうときは、メニューも見ずに店員のばばぁと目もあわせずに、きたねぇ柱時計でも一瞬睨んで、ややうつむき加減で
「日替わり、、、」
とだけボソッとつぶやいていく。そして出された薄さの限界に挑戦しているかのようなクソ熱いほうじ茶をすすってあえて少し悲しい気分になるということも男として大事なんだ。
「日替わり」
何が出てくるかはわからんぜ。でも「日替わり」に静かに命をかけていく、大事なことや。
さあ来週はブロック決勝戦。
「おでが日替わりヒーローになるだ!」
というやつは一歩前に出ろ!舞台はみなに用意されている。
準備を怠るな!
精神を尖らせろ!
相手をぶちのめすことだけを考えろ!
欲張っていこうぜ!
日替わり、ばっちこいよ!
おまえらとうまい酒は飲めないが、うまい飯を食おうじゃないのよ!