1234567TOTAL
別所ザウルス002051-8
鎌谷クラブ000104-5
プロ野球では一部の選手に対しては引退試合が行われる。高校野球でも「最後の夏の最後の試合」がどんな球児にもある。まぁ野球に限らずどんな事でも終わり、節目はある。
例えトーナメント戦とはいえ、南シニア杯はお前らにとって最後の大会。今日が最後かもしれない試合、、
俺はお前たちのを生きざまを、野球をみたかった。けれど試合は「らしくない」試合だった気もする。でもそれでも良いともおもうんや。

二)あおい
遊)たかよし
捕)たつま
投)たつき
一)しゅう
中)あきら
右)とくむね

左)りゅうた
三)しょうじろう
途中交代(あきら→ゆうき、とくむね→ゆうた)

バッテリー
たつき(5回0/3、119球、6安打8失点、四死5、5K)-たつま

しゅう(1回、6球、0安打0失点、四死0、0K)-たつま

 

【試合経過】

両軍無得点で迎えた3回表、恐竜軍攻撃

たつき、先頭9番に四球!

「下位打線、しかも9番に四球」の嫌な流れ

自分で何とかしようと気負ったか、1番打者の打席で一塁牽制悪送球で二進、ワンバンの隙に三盗を許し、さらにたつきの牽制エラーで何もせずベース1周を許し先制される。ランナーがいなくなって仕切り直しもそこから連打を浴びて失点。

課題の「先頭四球」から2失点を喫した。

 

反撃に出たい鎌谷は4回

先頭たかよしがレフトにはじき返す。たつま、たつき凡退も5番しゅうの打席でワイルドピッチで生還。こちらも先頭が出て無安打でなんとか1点をもぎ取った。

しゅうが四球、盗塁で二進も6番あきらは見逃し三振、、、

 

1-2のビハインドで迎えた5回表

1番の打球はライトへ。ライトフライに打ち取ったと思ったがとくむねのチャージがない!

打球は目の前でワンバウンド、後ろに反らすうちに二塁打となった。そこから右前打、たつき2連続エラー、牽制悪送球、とくむねに代わったゆうたの返球エラー、あおいの送球エラーと内外野が地に足がつかないプレーのオンパレード、、あっというまに5点を奪われた。

 

さらに6回表

寒風吹きすさぶ少年球場、リリーフの肩は出来ていない。最後かもしれない、1年間エースとしてマウンドを守ったたつきに完投してもらうしかないと続投としたが、1番2番に連続でストレートの四球、、たつき、無念の降板。しゅうは後続を断つもたつきの残したランナーが生還して1失点。

 

時間的に最終回となった6回裏、鎌谷がやっと反撃だ。

一死からたかよしがセンターエラーで出塁、ワイルドピッチで二進後、たつまのタイムリーで生還。たつき、しゅうが連続四球で一死満塁。途中出場のゆうき、空振り三振でツーアウト。つづくも途中出場のゆうた。

死球!2点目!

8番りゅうた、ラストバッターにはならないぞ!

意地の四球!3点目!

9番しょうじろう、俺が決めると意気込むも

死球!4点目!

相手リリーフはゆうきの三振を挟んで5者連続四死球と安定しない。

 

打席はあおい

「さぁじっくり見ていこう、相手は苦しいぞ」

「点差があるから極端な前進守備はしていない、転がせばあるぞ」

「あおいが出れば2点差満塁でたかよし、たつま。あるぞ!鎌谷!」

 

あおい、初球の外角低めボール球に手を出して一飛球、、

「初球????」

 

南シニア杯

おまえたちの最後の試合、終了!

 

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たつき

先頭四球から得意のはずの牽制でミスをして、四球暴投盗塁四球でなにもせずホームにかえしてしまった。その後置きにいって連打を浴びた。たしかに3回には素晴らしい二塁牽制でランナーも刺した。あれは「たつき」だった。100球を超えた。できれば完投してほしかったが最後はしゅうにマウンドを譲らざるを得ない投球だった。

 

たつま

体で意地でワンバンを止められなかった。打撃も「良い当たり」は出なかった。もちろん失点に繋がらないワンバンはいくつか止めてくれた。でも流れを変える一打、お前のデカい当たりは見られなかった。

 

りゅうた

最後の試合、ヒットを見たかったが力のないショートフライだった。あと2メートル、あとひと伸び、ボテボテではないお前のクリーンヒット、見たかった。

 

しょうじろう

最終回、ここぞの場面の死球は痛かったな。おまえの火を噴く左中間が見たかった。残念なのは守備。今日はいつもの安心して任せられる「しょうじろうのサード」ではなかった。

 

あおい

守備ではとくむねやゆうたを助けるプレーを見たかった。最後の二死満塁、相手は四死球連発で苦しかったはずだ。ベンチは「待て」のサインは確かに出さなかった。お前の野球が見たかった。試合の流れ、苦しい相手の投球、点差、2番にたかよし、3番にたつまの打順が見えていたか。考える野球にお前の足を絡めた「あおいの野球」見たかったなぁ。

 

あきら

お前は確かに選球眼で四球を拾える打者だった。けれどこれは最後の試合。「見逃し三振だけはやめろよ!」の指示にかかわらず二打席連続見逃し三振で交代となってしまった。今日は「鎌谷で最後になるかもしれない試合」。思い切り振ってほしかった。おまえも思い切り振りたかったはず。けれど出来なかった。全部外角だった。これが野球だ。

 

とくむね

思い切りのいいスイングと強肩がありながらも守備がネックとなってレギュラーとはいかなかった1年だった。最後の試合、あのライト前。走りこんで取ってほしかった。転んでも飛び込んでもいいから行ってほしかった。たとえ取れなくてもそんなとくがみんな見たかった。

 

たかよし

代表もほめてくれたきれいなヒットも出て、1安打2出塁2得点。最後の試合、個人的にたかよしらしい野球はできたかもしれない。でもチームは負けた。最後あおいが出れば打席が回ってきたが、それもかなわなかった。キャプテンとしてあの場面で打席が回ってこなかった。厳しいが運も含め、それが今のおまえの実力だ。大原監督がいなくて代表がバックネット裏から静かに眺めておられた中で厳しいかもしれないけれど「チームのこの試合」を「どうにかする」それがキャプテンだと思う。

 

5年生たち

もう「次のチーム」で動き始めている5年生。この試合どう思った。「6年生と1試合でも多くやりたい!」その気持ちが、想いが声やプレーに出ていただろうか。君たちはもうチームを引っ張っていかなければ、鎌谷を背負っていかなければいけないのだ。

 

最後の試合なのにここまで厳しいことを書いたかもしれない。

けれど、君たちを叱っているわけではない。

 

俺は最後、これでよかったと思っている。

 

この悔しいんだかなんだかわからない釈然としない想いをどうか覚えておいてほしい。

だからあえて書いた。

 

もったいない失点を繰り返し、反撃も及ばず、全員が力を発揮できず、らしいプレーができずにあっさりと、あっという間に負けてしまった。

 

涙も出ない試合。これが君たちの最後の試合だった。

 

おれは、これでいいと思う。

華々しい、お涙頂戴のまたは笑顔での引退試合なんてのもあるだろう。

 

寒空の少年球場B面、試合終了の瞬間、98年のアントニオ猪木の引退試合が頭をよぎった。

 

アントニオ猪木の引退試合は1998年の或る日のドンフライ戦。

4分9秒グランドコブラで猪木は勝つには勝った。

 多額の借金、骨折、猪木自身の衰えやその他、大人の事情が絡みまくってなんとももどかしいものだった。

  おとろえた猪木はコブラツイストで自分を支えきれずに転んでしまってグランドコブラに移行したのでは?息が持たないから早めに試合を終わらせなければならなかったのか?フライはなぜギブアップしたのか?騒然ともせず、納得もできずプロレスファンは静かに消化不良に苦しんだ。
 

猪木の引退試合をどのように消化すればいいのか当時大学生だったコーチも随分と悩んだものだった。(あぁ、もっと悩むことはあっただろうに、、)

 

実はプロレスの神が「おとろえた猪木」をプロレスファンの目に焼き付けさせて、「お前たちは前を見るしかない、猪木は死んだのだ」ということを暗示したのではないかなどと真剣に考えたものだ。若かった、、おっさんにも実は若い頃があったのだ!!

 

猪木から鎌谷に話を戻す。

 

君たちは、上記のように全員が力を出し切れず、涙も出ない試合で鎌谷を終わった。

 

きみたちよ

どうか、この消化しきれない想いをもって次に進んでほしい。

 

俺は最後の最後に

「俺たちはこんなもんじゃねぇ!」

「なんで俺たちが負けるんだ、、」

「もっとできたはずだ」

なんて想いをもって引退するなんて男らしくないと思う。

そんな奴はあんまり好きじゃないな。そういう奴、ちょいちょいおるからな。大人でもな。

 

呆然と相手の勝利を見つめて釈然としない想いでグラウンドを去る

 

それがきみたちの最後でええやないか。

 

それのほうがいい。

 

 

 

ずっといい。

そう思う。

 

なぜなら君たちには未来がある。想いはきっと次の野球に繋がる。

  猪木はプロレスラーとして野垂れ死んだかもしらんが、おまえらは若い。猪木じゃない。
  おまえらの野球は死んだ。
 

来年の春に中学で復活するために死んだのだ。

 

それでいい。

そう思う。

 

もちろん何も残らないわけではない。

  君たちは得たやないか。
 

「仲間」を。

 

りゅうちゃん1人から時間を掛けて続々と仲間が集まった。りょうたろうは野球以外の目標をもって途中でチームを去ったが、全員で9人の六年生。ずっと野球をやってきた仲間。

 

りゅうた

たかよし

たつき

りょうたろう

たつま

しょうじろう

とくむね

あきら

あおい

 

これ以外に何がいるというのだ。

きみたちは何も喪失せず、仲間を得たやないか。

 

野球

  君たちが野球を好きである限り、野球は続いていく。けれど節目(ふしめ)はある。それがこの試合だった。コーチはそう思う。
 

「続いているが、続いていない」

「俺ではない俺に会いに行く」

むずかしいな、説法くせぇな。でも節目というのはそういうことなのだ。

 

小学生には難しい言葉でいうと、こういった経験、プロセスを経ることを

「自我の再確認と超自我の追求」ともいう。

 

きみたちはそんなこと別段考えなくても、これからも野球を愛し、勉強をいっぱいしてお友達とアホほど遊べばいい。

 

こんだけ野球がんばったんや。

何でも出来るで!

1年間、よく戦った。

野球の難しさ、楽しさを知った。

得難い仲間を得た。

 

ベストゲームは県小連の明神台戦。君たちらしさがあふれた試合だったなぁ。

 早いなぁ

鎌谷はこれで卒業。あとは納会、初詣、卒団式だ。

  風邪ひかず勉強してしっかり学校を卒業するように

まさか、卒業できないなんてことはないよな、あきら!